全国で野球肘検診が行われることが多いのは11月下旬から12月かと思われますが、栃木県においても、栃木県高野連とNPO法人野球医療サポート栃木の共催で、12月1日に県央地区、8日に県南地区、15日に県北地区の3回にわたり野球肘検診が行われました。
そこで外側の野球肘である上腕骨小頭離断性骨軟骨炎と指摘をされて、レントゲン撮影をはじめ診察を受けるようにと当院へ受診いただくケースがあります。
中学生になってから初めて検査を受けて、肘が伸びない状態で来院し、レントゲン像も既に経過の長い外側の野球肘で変形治癒といった状況の選手もいます。聞けば学童の時に検査を受けていないということでした。
学童野球の指導者は、4年生以上の選手の検診を受けさせる必要があります。義務ではないことにはなっていますが、検診を受けさせるよう努めていただきたいところです。
外側の野球肘は痛みを伴わないまま進行し、変形して肘の曲げ伸ばしにも制限が出てくることがあります。学童野球選手が100人いれば、1~3人は異常が見つかるということが学問的にわかってきており、学童野球の全国大会出場のためには検診を受けることとなっていたりするかと思われ、当院に県野球連盟からの依頼で検診を受けに来ることもあります。
今回の中学生のケースは、学童の時期に検診を受けてもらっていれば発見できた可能性が高く、指導者が知らなかったでは済まされない時代になりつつあります。野球指導者講習会ベースボールコーチングクリニックをはじめとして、指導者の研修を受ける機会はあるはずです。
今回は関節面の評価でMRIの検査を実施しますが、手術にはならない見込みとはいえ、変形を起こさないように早期発見をすべきです。
当院では個別での野球肘検診も可能です。くわしくはお問い合わせください。
検診なので健康保険ではできませんが、異常が見つかれば健康保険での対応も可能です。